手話、独学

手話の学習、 独学「深めよう広げよう!第2言語のとらえ方」

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普段の会話で何気なくできることが、
新しい言語を学ぶと、とても難しく思えてしまう。

考え方次第でハードルを下げることができます。

手話学習の始め方、効果的な勉強法、一緒に考えてみましょう。

 

いおり
いおり
荒川いおりプロフィール

手話通訳士です。
手話通訳者として20年ほど活動しています。
スポーツの指導歴が長く、数千人に指導してきました(ろう者含む)。
スポーツと医療の手話通訳経験が豊富です。
手話通訳を仕事にしています。研修や試験対策の講師もやっています。
手話を覚えたい方、勉強中の方、手話通訳者、みなさんへの、
手話に関する「活字でわかりやすいアドバイス」
を投稿しています。

 

 

手話が難しいと感じるとき

第1言語ではない、第2言語の手話を学ぶ私たち

私たちは意識することなく日本語を身につけてきました。

音声言語であれ、手話であれ第1言語(母語)として習得するときは、
赤ちゃんはお母さんの話すことを聞いて(見て)言葉を覚えます。

私たちの日常会話は、いちいち頭の中で語順や文法を考えてはいません。

自然に覚えた言葉を自然に使いこなしています。

声に出さない思いや、夢の中の会話も、
すべて日本語で語られています。

それが、第2言語を覚えることになると、簡単にはいかなくなります。

理屈っぽくなるのです。

自分の持っている第1言語を基準にして、
それと比較して新しい言語を覚えようとします。

意識して考えたことはないと思いますが、
健聴者であれば、ひとりごとも、脳内のつぶやきも、
夢の中でも出てくる言葉は音声言語です。

新しい言語は、ある程度、語順や文法を意識しないと、
適当に単語を繰り出しただけでは文章にならないのです 。

手話を学ぶ私たちには、言語化された参考書が(言語化された指導が)必要なのです。

手話を学ぶ時も、
日本語で記された(耳にした)情報を得ています。

「語源」を例にすると......

「明治」という手話をご存じでしょうか?
あごの下に丸めた手を当てて、すぼめながら手を下げる。

手話の語源は明治天皇のあごひげと言われています。

「大正」は、鼻の下の口ひげを模したうごき。
大正天皇の口ひげを表しています。

手話を学ぶ人で、語源にとてもこだわる人がいます。

では、日本語の「明治」「大正」の語源にこだわるか?

そこはこだわらないですよね?

私たちは「あか」と聞けば「あかいろ」をイメージできます。

でも、「あか」や、「あ」「か」自体に、
色の赤を意味するものはありません。

また、使用する私たちも意識をしていません。

これが「手話」になると、
唇を人差し指でなぞる。
唇が赤いから「あか」

という語源を求めてしまいます。

このように、
第2言語への取り組み方は、理屈っぽくなるのです。

わかってはいるんだけれどなあ

手話を学ぶとき「なんとなくわかっている」ことは多いですよね。

わかっていると思っている。
例えば手話を見ていると何を言っているかわかるのに、
いざ読み取りをして声に出そうとするとうまくいかない。

いざ、声にしたり、手話にしたりすると、うまくいかない。

「わかっている」ということと、「結果が出せる」ことが結びついたときに、
「しっかりとわかった」ことになるのです。

「しっかりわかる」ためにはどうすればいいのか。

例えば手話講習会で講師から
「あなたは表出を焦るあまりに、受容をおろそかにしている」そう言われたとして,
じゃあ、どうすればいいの?となります 。

「どうすればいいのですか?」と講師に質問して「受容に集中しなさい」と言われても、
「はいわかりました」とはなりませんよね?

手話(第2言語)を学ぶコツ

あまり考えすぎない

ずいぶん昔、手話講習会の講師に、
「語源にはあんまりこだわらない方がよい」。

そう言われてから、努めてこだわらないようにしてきました。

語源にこだわるよりも、
聞こえない方の手話を真似ることの方が大切です。

「目で見たものを吸収する」。

これが何よりも大切です。

例えば、
「パラリンピック」という手話があります。
手の形、手の動きをまねて、
「誰が見てもパラリンピック」になることが大切です。
*日本手話研究所:新しい手話の動画サイトより

手の動き、体の動き、表情など、
欠けることのないように真似をします。


考えすぎない点からも、シャドーイングはおススメ

手話に限らず、言葉を覚えるときに有効な練習方法が、
「シャドーイング」です。

聞こえたこと、見えたものを、
同じく真似をします。

初期の練習としては、音声を音声でシャドーイングしましょう。

「サイマルアカデミー」さんのサイトの説明がとても参考になるので、
リンクさせていただきます。
「英語の上達のコツ」ですが、方法は全く同じです。
*「サイマルアカデミー」「英語上達のコツ、シャドーイングとは」より

慣れてきたら、
動画を使って手話から手話のシャドーイングをしましょう。

手話のシャドーイングは効果絶大です。

手話の速さに追いつけないときは、再生速度を遅くします。

うまくできない部分は何度も連します。

できるようになったら再生速度を調整します。

シャドーイングは2~3語遅れて始めます。
直後に始めるのは簡単なので、
あまり効果がないと言われています。

例えば「自転車の乗り方」

自転車に乗れない人に皆さんはどのように乗り方を教えてあげますか?

「自転車なんてものは転んで失敗して乗れるようになるんだ」
「つべこべいわずにやってみろ」そういいますか?

自転車に乗れない人に合わせて、
その人の年齢に合った言葉を使って、
丁寧に教えてあげた方がいいですよね?

乗れるようになる手順を想像してみてください。

ポイントや注意事項を考えてみてください。

その想像力を手話の練習にも当てはめましょう。

「なんとなく」「手あたり次第」やるのではなく。

どのような順序で練習しようかな?

この練習はどれくらい続けたらいいかな?

試行錯誤してみてください。

やっていくと自分に合ったペースや方法が見つかります。

あとがき

参考にさせていただいた「サイマルアカデミー」は、
言語通訳の会社「サイマルインターナショナル」のグループです。

サイマルインターナショナル顧問の長井鞠子さんは、
とても有名な日英の通訳者で、
国家間の条約調印や、国際企業の契約などでは、
「長井さんに通訳をお願いできれば交渉が有利に進む」とまで言われた方です。

10年ほど前、NHKの「プロフェッショナル」で長井さんの特集があり、
その通訳に対する姿勢に感動した覚えがあります。

そのころ著書を買いました。

心が通じることが大切なこと、
難しい言葉よりわかりやすい言葉を選ぶこと。

私たち手話に関わる者にも大変参考になります。

一度読んでみることをお勧めします。

 

 

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