
手話通訳者という仕事は、まさに「オールマイティ」が求められる職業です。
ある時は医療現場、ある時は行政の窓口、そしてまたある時は講演会やエンターテインメントの舞台まで。多種多様なジャンルに飛び込み、瞬時に言葉を紡ぎ出すその対応力は、手話通訳者の最大の武器であり、誇るべき技術です。
しかし、今、手話通訳の世界には「もう一段階上のステージ」が求められています。それが、「手話 + 〇〇」という考え方です。
「理解して訳す」と「なぞって訳す」の決定的な違い
想像してみてください。
通訳者が、入ってきた情報を「あまり理解せずに(言葉だけを置き換えて)」発信している場合と、その内容を「深く理解して」発信している場合。
受け取る側にとって、どちらが分かりやすいかは明白です。
手話は単なる単語の置き換えではありません。
文脈、背景知識、そして話者の「意図」を汲み取って初めて、生きた言葉になります。
通訳者自身が内容を咀嚼できていなければ、どうしても表現は表面的なものになり、どこか「伝わりにくい」違和感が残ってしまうのです。
デフリンピックが証明した「専門性」の価値
この「付加価値」の効果が顕著に現れたのが、デフリンピックでの専属通訳の活躍です。
スポーツのルール、戦術、選手特有のニュアンス。それらを熟知した通訳者が介在することで、コミュニケーションのスピードと精度は飛躍的に向上しました。
単に「手話ができる」だけでなく、「そのジャンルのプロフェッショナルな知識」を併せ持つこと。これが、通訳の伝達力を極限まで高める鍵であることを、彼らの活躍が証明してくれました。
社会進出を支える「知識」という貢献
現在、聞こえない方々の社会進出はますます加速しています。
IT、法務、芸術、最先端技術……。活動の場が広がるにつれ、通訳者に求められる知識の専門性も高まっています。
私たち手話通訳者が、現状の技術に甘んじることなく、
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「スポーツ × 手話」
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「IT × 手話」
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「経済 × 手話」
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など、自分なりの強みや専門知識を意欲的に学ぶこと。
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その「深い理解」に基づいた通訳こそが、聞こえない方々が社会で真に力を発揮するための、大きな追い風になるはずです。
結びに:あなたの「プラスα」は何ですか?
オールマイティな対応力という土台の上に、自分だけの専門性という「付加価値」を乗せていく。
それは通訳者自身のキャリアを豊かにするだけでなく、社会全体のバリアフリーの質を底上げすることに繋がります。
「手話プラス〇〇」
あなたは、手話に何を掛け合わせますか?
その一歩が、誰かの世界をより鮮やかに広げる力になるかもしれません。
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