手話、独学

手話、独学、「読み取り、この癖がついたら要注意!」

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・読み取りの練習は必ず声を出す
・録音する
・癖を自覚して、直す努力をする

「あなたは読み取りと聞き取り、どちらが苦手ですか?」

この問いにはほとんどが「読み取りが苦手」と答えます。

問いを変えて「あなたは読み取りと聞き取り、どちらが得意ですか?」

そう尋ねても結果は同じです。

健聴者にとって通訳、翻訳しなければならない「手話」は、目的言語です。

言語を使っている人たちに密着し、理解して身につける言語です。

ちなみに、仕事や研究など、必要があって身につける
(密着、理解を目的としない)言語は目的言語。

挨拶や日常会話を目的として身につける場合は交流言語と言います。

聞き取りは、日本語⇒手話
読み取りは、手話⇒日本語

通訳は一般的に母語で表出する方が得意だとされているので、
手話の場合は読み取りの方が「得意であるはず」なのです。

それが逆転する理由を考えると、
聞き取りは手話を表出するとき、単語の選択に迷っても、翻訳が遅れても、
自分で実感しにくいので「できていると思いがち

読み取りは表出する日本語が聞こえるので、
できないこと、間違えたことが実感できる

なので、読み取りが苦手ということになるのでしょう。

読み取りは、その苦手意識からなのか、
さまざまな「癖」が付きやすく、
なるべく早い段階で悪い癖を無くすことが大切です。

自分も経験し、学習や研修でよく見受けられる癖を紹介します。

 

いおり
いおり
荒川いおりプロフィール

手話通訳士です。
手話通訳者として20年ほど活動しています。
スポーツの指導歴が長く、数千人に指導してきました(ろう者含む)。
スポーツと医療の手話通訳経験が豊富です。
手話通訳を仕事にしています。研修や試験対策の講師もやっています。
手話を覚えたい方、勉強中の方、手話通訳者、みなさんへの、
手話に関する「活字でわかりやすいアドバイス」
を投稿しています。

 

 

読み取りの様々な癖

語尾が上がる、消える

読み取りの際、句点や読点の手前で語尾を上げてしまう。

これは正しく読み取れたかわからない不安が声に出てしまったものです。

「これで合ってるかな?」と思う「心の声」ですね。

すべての文が疑問でくくられるので、手話の話者がずっと
疑問を投げかけていることになり、誤読になります。

「そう思います」と言い切っているのに、語尾が上がるので、
聴いている人は「ことらに聞いているの?」と誤解します。

それと同じ心情でやってしまうのが、
語尾が消え入る。

全体的に声が小さいのも、不安と自信の無さの表れです

消え入る声で「そう思います」と言われても、
聴いている人には「そう思います、、、、、たぶん」という意味合いに受け取られるでしょう。

滑らかに言えない

滑らかに言ってみたり、
早口になったり、
かと思うと無音になったり。

読み取り通訳を聞いている人からすると、
うまく訳せていないことがわかります。

滑らかな部分は受容と翻訳が追い付いている。

早口の時は翻訳がうまくいっていない。

無音の間は表出(見えている手話)を理解しきれていない。

ほとんどがそのような理由だと思います。

不必要な「合いの手」が入る

言葉の出だしなどに「まあ」「ええ」「ええ、まあ」「あの・・」
などを言ってしまう。

この無意味な言葉を「フィラー」と言います。
人前で話すことが苦手な人の講演などでは、しきりに繰り返されますが、
聴きにくい印象を与えます。

お話の内容が頭に入ってきませんね。

次の言葉を考えている瞬間に、「ちょっと待ってね、ええと」
という意味合いで口をつくのだと思います。

自分で勝手なストーリーを作ってしまう

思い込みから、話者の話とは全く違う自作のストーリーを語りだすことがあります。

一旦見間違えた単語に合わせて、その後の自作のストーリーが進んでいき、
あれ?おかしいな」と思ったときには手遅れになります。

悪い癖をなくす方法

・癖を自覚するために録音して聴く
・できなくても、間違ってもいいから声を張る
・文章でいえる練習をする

癖を自覚するために録音して聴く

読み取りを練習する際には必ず声を出します。

「見てるとわかるんだけどな」とは、よく聞きますが、
見るだけで読み取りができた人を私は知りません。

毎回声を出して、時々は録音して、それを聞きます。

上記の悪い癖をチェックしてください。

勉強仲間や先輩に聞いてもらうのもいいでしょう。

<他人の評価を受けて、素直に受け入れるのです。

できなくても、間違ってもいいから声を張る

読み取りができるようになってから声を張るのでは順番が逆です。

できなくても声を張って、習慣にします。

声を張る、言い切る。
その気持ちが定着すると、とっさの判断力が「弱気にならずに」発揮できます。

文章で言える練習をする

学習の初めの段階では、読める単語を声に出す状態ですが、
徐々に文章として流れのあるものを目指します

手話の語順と日本語の語順は異なる場合が多々あります。

受容した手話を頭で整理して、日本語として聞きやすいものに変える作業は、
繰り返し練習して身につくものです。

DVDの映像で練習する場合は、繰り返し練習する中でより良い言い方を考えます。

ひとつの言葉が見えたとき、その前後のつながりを考慮すれば、
どんな流れのある文章になるか、いつも考えます。

よく言われることですが、
「話しの大筋を掴め、枝葉に惑わされるな」
話者(手話)の話を、読み取り通訳が音声にしたときに、
聴いている人が「何が言いたいの?」となってしまってはいけないのです。

例えば、「ろう学校の寄宿舎生活」というお話で、要約すれば、
「幼い時に親と別れることは不安だったが、優しい先輩たちのおかげで
すぐに楽しい生活になった。いろいろなエピソードは忘れられない」

という「話しの大筋」ならば、
最後に「良い思い出でした」という話でまとまるはずが、
エピソードばかりが強調されて、
聴いている人は「結局言いたかったことは何だったの?」
そうなってしまってはいけないのです。

話しを切り取らずに、
前後をつなぎ合わせて流れのある文章として言えるように練習しましょう。

 

あとがき

読み取りに限らず、手話の練習は回数を重ねることが大切です。

週1回、2時間集中してやるよりも、毎日短時間コツコツやること。

メラメラと燃え上がるやる気をみなぎらせるよりも、
淡々と日々のルーティンをこなすイメージです。

燃え上がる情熱で取り組むと、どうしても長続きしません。
それよりは「ご飯を食べるように」毎日淡々と、コツコツやるのです。

すぐに上達はしませんが、ふと気が付くと思ったよりできるようになっている。
そんなものです。

頑張る自分を、自分でほめながらやっていきましょう。

 

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