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手話を学んで、もっとレベルアップするためには。
・手話の背景、歴史を知る。
・手話を操るための脳トレをする。
・勉強のやり方を知る。
・読解力を上げる。
・具体と抽象を理解する。
これらが重要です。
手話通訳士です。
手話通訳者として20年ほど活動しています。
スポーツの指導歴が長く、数千人に指導してきました(ろう者含む)。
スポーツと医療の手話通訳経験が豊富です。
手話通訳を仕事にしています。研修や試験対策の講師もやっています。
手話を覚えたい方、勉強中の方、手話通訳者、みなさんへの、
手話に関する「活字でわかりやすいアドバイス」
を投稿しています。
私はもともと読書好きです。
この20年くらいは、
・手話
・学習法
・福祉、倫理、差別
・スキルアップ、リスキリング
と言ったジャンルの本を多く読んでいます。
たくさんの本を読んできた中で、
役に立ったと思う本を紹介します。
手話通訳者にお勧めの本は、
別の記事で紹介します。
所有する本から選りすぐりをご紹介します
手話を身につけて、それを活かしていくためには、
幅広く知識を持つ必要があります。
私が読んできた本の中から、
いくつかのジャンルに分けてご紹介します。
手話の背景、歴史を知る
「手話知らんですんません」小出新一著
手話を使った情報保障がどのような成り立ちで誕生したのか。
それがよくわかる本です。
筆者は学生時代に知り合いの勧めで手話通訳を目指します。
文中に、「手話を見て感動するのはたやすいことであるが、
これをいざ自分自身でやるとなると話は別である」とあります。
手話を学ぶ多くの人が共感するのではないでしょうか。
筆者が初めて壇上で手話通訳を担ったときの失敗談。
「消えてしまいたい」と思った気持ちは、
たいていの手話通訳者は経験があることです。
今の自分が小出新一氏と一本の道でつながっている。
そう思うと、
「いままで手話を知らなくてごめんなさい
いまだに手話が下手でごめんなさい」
そんな気持ちで頑張れます。
「市川恵美子の視点」東京都手話通訳問題研究会
全通研、東通研の元リーダーだった故、市川恵美子氏。
長年寄稿されたものをまとめた本です。
時代や制度は変わっていますが。
全く色あせないエネルギッシュな言葉を、
是非とも読んでみてください。
「誰のための、何のための」
考えてみてください。
東京都手話通訳問題研究会
こちらから購入できます。
手話を操るための脳トレをする
「グローバル時代の通訳」水野真木子、ほか共著
手話講習会や書店で見かける手話を学ぶ本には、
まず見かけないことなのに、とても大切なことがあります。
言語通訳者としての、脳のトレーニング法です。
水野真木子氏は、手話通訳士試験の参考図書、
「コミュニティ通訳入門」の著者でもあり、
幅広く言語通訳に関わるなかで、
手話通訳者の研修にもたびたび講師をされています。
言語通訳者は共通した脳の使い方があって、
この本には私たちが実践できるトレーニング法が多数あります。
付属のCDでトレーニングしてみてください。
継続すればあなたのパフォーマンスが確実に上がります。
勉強のやり方を知る
「すべての学びの前に鍛えるべきは教わる力である」牧田幸裕著
何も考えずに学ぶのは、
走り方を知らずにがむしゃらに走るようなものだと私は思います。
学ぶ側の人には、効率的に学ぶテクニックがあります。
これは一度身につければずっと応用できますので、
一度興味をもってください。
読解力を上げる
「社会人のための読解力トレーニング」後藤武士著
私の今があるのはこの本のおかげだと思っています。
同じ道を目指す後輩たちにこの本を何冊も進呈してきました。
まさに社会人が読解力を学ぶのに最適な本です。
手話通訳士試験の国語も、読解力はこの本で勉強しました。
読解力から始まって、主観と客観、具体と抽象といった、
コミュニケーションには不可欠な考え方を深めていきました。
もう販売していないと思いますが、CD版がありました。
それと同じものがAmazonのオーディブルにあります。
「語彙・読解力検定公式テキスト合格力養成BOOK準1級」
現在はこの検定は行っていません。
私は手話通訳士試験に合格後、
この検定を知って、
さらに読解力を磨くために受験しました。
3級から始めて準1級を受験したところで、
検定がなくなってしまいました。
幸いすべて1発合格でしたが、
私には1級は合格できないだろうと思いました。
テキストは今でも手に入ります。
朝日新聞とベネッセが作ったテキストは、
問題の質が高くて、とても勉強になります。
特に手話通訳士を目指す方は、
3級がよい勉強になるかと思います。
手に入るうちにぜひ!
この検定の後継にあたる検定、
「Literas(リテラス)論理言語力検定」がありますが、
残念ながら学校や会社単位の受験のみで、
個人の受験は受け付けていません。
具体と抽象を理解する
「具体と抽象」細谷功著
この本を読んで、
頭を殴られたような衝撃を覚えました。
手話の世界でも、
「わかりにくい」とか、「もっと具体的に!」とか、
講師から言われた経験は皆ありますよね?
それは本当ですか?
具体的にやればわかりやすいんですか?
その答えがこの本にあります。
手話では、「上位語と下位語」を教わりましたか?
例えば、
ヒト
男性
男の子
自分の息子(いおり君)
ヒトは上位語であり、抽象的です。
いおり君は下位語で、具体的です。
具体的に言えばわかりやすいなら、
「昨日、いおりがこんなことを言ったんです」
これがわかりやすいことになります。
本に書かれていますが、
世界は抽象的な言葉のおかげで成り立っています。
「今夜は魚を食べようか」といえば、
おおよそ相手に通じますよね?
2023年の時点で地球の魚は36584種あるそうです。
これを言わなくても「魚」と言えば相手に通じる。
抽象って、すごいですよね!
そんなことをこの本から学んでください。
あとがき
手話を学ぶためには、
手話の技術だけでなく、
自分自身を磨くようなことが大切ではないでしょうか。
コミュニケーションですから、
相手があって成り立つことなので、
他人にも、自分にも、
優しい気持ちを持つことで、
「場の空気を和ませる」ことができます。
そのためにも、
どんな本を読んでも、何か吸収できる。
そんな柔軟な気持ちで日々を過ごしましょう。