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一言でいうと、
「手話通訳者のメンタルケアは手話通訳者同士のサポートが欠かせない」
のです。
その理由と方法を述べます。
手話通訳者でなくても、
自身や家族、友人、職場の同僚などを当てはめて考えることができます。
硬い内容と思わずに、読んでみてください。
なにか心に響くものがあれば幸いです。
ケアって、普段使いが大事だよね!
ケアとかサポートというと、身構えてしまいそうですが、
いえいえ、そんなことはないんですというお話から入っていきます。
インフルエンザにかかってしまったら
インフルエンザだと気づく前から、かかってしまって、
完治するまでの流れを想像してみてください。
1・「あれ?なんか体調おかしいぞ?」と気付く。 ケアは自分です。
2・高熱になる。のどが痛い。
薬、水分、食事、着替えなどの用意。 自分や家族です。
3・お医者さんにかかる 医師薬剤師、専門家のお世話になります。
4・インフルエンザ、肺炎。入院 3と同じです。
5・退院、自宅で安静に。
薬、水分、食事、着替えなどの用意。 自分や家族です。
6・仕事の調整。 職場の同僚。
7・完治。
3と4は専門家が担当。ほかはすべて「素人」のケアです。
ケアは素人がほとんどの時間を担う。
素人の自分(セルフケア)
素人の家族、友人(ピアサポート)
ケアの時間と手間の多くの割合を占めるのは素人です。
これは、メンタルヘルスケアも同じです
手話通訳者とピアサポート
手話通訳者は、守秘義務を負っています。
具体的に仕事の内容についての悩みを打ち明けられない。
また、特殊な働きなので、
悩み、つらさの状況を部外者が想像しにくい。
家族友人からのケアを受けにくい環境でしょう。
そこで、唯一無二の頼りとなるのが「ピアサポート」です。
同じ手話通訳者同士、手話通訳者集団。
それなら、自分の悩みや辛さを分かってもらえるのです。
企業は、厚生労働省の「労働者の心の健康促進のための指針」があり、
それに沿って、
- 事業者
- 人事労務管理スタッフ
- 管理監督者
- 従業員
それぞれの役割でメンタルヘルスケアに取り込むことが大事だとされています。
手話通訳者は?
正社員で働く人はわずかです。
身分保障のない弱い立場です。
結局自分で身を守ることが求められます。
本当はメンタルが限界を超える以前、
日ごろから体調を整え(よく眠り、よく休む)
家族や同僚が優しい声掛けを欠かさないことが大切。
普段からの接し方が大切です。
メンタルがやられる
わかっていても弱ってくるメンタル。
メンタルの動きを言語化してみます。
ストレス襲来
あなたを取り巻く環境に何らかのストレッサー(ストレス要因)があって、
その要因が非常に強い場合や、要因がいくつも重なった時、
あるいは長期にわたって持続して、
個人が耐えられる限界を超えたとき、
何らかの健康被害が発生します。
- 職場のストレス要因
- 仕事以外のストレス要因(家族、家庭)
- 個人的要因
(年齢性別、結婚生活状況、職種、雇用、性格、自尊心)
などが加わって、ストレス反応が起こります。
- 心理的反応・・・不満、抑うつ
- 生理的反応・・・身体的訴え
- 行動化・・・・・事故、飲酒、薬物、欠勤
それがさらに進むと「疾病」となってしまいます。
どうしたらいいのか
自分が、家族友人、同僚がメンタルの不調を起こしたら、
どうしたらいいのでしょう。
前述のインフルエンザ罹患を思い出してみてください。
せんもんかの領域があって、
それはお任せすべきです。
それ以外の「素人のケア」を、
私たちは考えるべきで、学ぶべきです。
言葉を選ぶ、タイミングを考える
誰だって経験があると思うのです。
もう頑張れないときに「もっと頑張れ」とか、
「あいつは頑張っているのにお前はだらしない」とか。
一番言ってほしくないことを。
一番言ってほしくないタイミングに言ってくる人。
もし悪意があったら、それはもう人間ではない。
悪意がなくても、言ってはいけませんね。
悩んでいる、弱っている人が求める言葉。
その言葉をかけてあげるのがケアです。
何も言わないでほしい時は言わない。
見守る。
タイミングを見計らって、相手が求める言葉をかける。
身近な素人だからできるケアです。
ケア
ケアとは、
放っておかないこと。傷つけないこと。
もし、「誰も話しかけてくれないけど、
もしかして自分は邪魔者?」そう思っている人がいれば、
いつも以上に声をかけて、積極的に親切にする。
「ニーズ」を満たす。
ケアとは相手のニーズを満たすこと。
のどが渇いている人には水を汲んできてあげる。
雨でぬれている人には傘を差しだす。
相手が必要としているものを代わりに調達してあげる。
それがケアです。
「利他」に通ずるものがあります。
利他の反対は「利己」。
相手が望むことと、
自分が「これをやってあげたらいいだろう」と勝手に思うことは、
たいてい違います。注意しましょう。
セラピー
セラピーとは、
傷ついた人に向き合うこと。
「ケアは相手のニーズを満たすこと」と言いました。
セラピーはニーズを保留することで相手の変化を狙います。
ある日子供が一人で学校に行けなくなる。
お母さんが毎日送り迎えをしてあげる。これはケアです。
数日たって、お母さんは担任と相談して、
子供が通いやすい環境を整えます。これもケアです。
そして子供と話し合います。
「先生がね、あなたとお話ししたいって。
一人で行き帰りできるようになったら、またお友達と遊べるよ」ここからセラピーです。
「うん」
お母さんに送り迎えしてほしいというニーズが、
友達と遊びたいというニーズに変更される。
これがセラピーです。
もし、最初にセラピーが来ると、
一人で通学したくないのに、無理にいかせようとします。
嫌がる気持ちがこじれます。
子供だけでなく、大人だって、
傷んだ心は急に変更できません。こじれます。
セラピーとは自立を促すこと。
手を出すのを控えて、本人にゆだねて見守ること。
先にケア
先にケアがあって、そのあとにセラピーです。
それを繰り返し行うことで本人の気持ちが好転していくことを狙います。
学校に行きたくない子供に、
いきなり「そんなことでどうする!学校に行きなさい」と言ってはいけません。
人それぞれ、個性を認めましょう。
セラピーから始まると強引になり、
相手の心に急な方向転換を求めることになります。
あとがき
私は医師でもなければ臨床心理士でもありません。
ど素人です。
素人の立場で身の回りの(手話通訳者の)
心のケアをどうにかしなければならない。
そう思っているだけです。
みんなが思いやりをもって、
ケアとセラピーをスキルと考えてやっていけば、
この業界はもっと素敵なものになると信じます。
人にやさしく。
自分にやさしく。
声を掛け合っていきましょう。