
手話講習会に通い、何年もかけて技術を磨き、難関の試験を突破する。
それは並大抵の努力ではありません。
しかし、晴れて通訳者・通訳士として現場に立ったとき、多くの人が一つの壁にぶつかります。
「教科書通りにいかない」
「言葉は通じているはずなのに、何かが噛み合わない」
そんなとき、鍵を握るのが「学習知」と「世間知」という二つの視点です。
1. 学習知:通訳の「土台」を作るもの
まず、講習会や試験対策で私たちが必死に身につけるのが「学習知」です。
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定義: 学校教育や研修、読書などを通じて体系的に学ぶ知識や理論。
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特徴: 誰にでも共通する「普遍的」なものであり、テキストなどで言語化された「形式知」です。
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役割: 手話の語彙、文法、通訳理論など、通訳者としての骨組みを作ります。
いわば、「知っている」という状態を作るための知識です。これがないと通訳のスタートラインに立つことはできません。
2. 世間知:現場で「橋渡し」をするもの
一方で、通訳者になってから、荒波のような実践の場で求められるのが「世間知」(体験知・実践知)です。
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定義: 日々の生活、仕事、人間関係などの具体的な経験を通じて得る知恵や常識。
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特徴: 状況に根ざした「個別的」なもので、言葉で説明しにくい「暗黙知」です。
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役割: 相手の背景を察する、場の空気を読む、マナーや振る舞いを判断する。
こちらは、知識というよりは「できるか、どう振る舞うか」という、生きた知恵と言えます。
二つの知が組み合わさるということ
「学習知」と「世間知」は、どちらが欠けてもうまくいきません。
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学習知だけでは: 理論にこだわりすぎて、複雑な現実世界や目の前の利用者の感情に対応しきれず、「世間知らず」な対応になってしまうことがあります。
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世間知だけでは: 経験に頼りすぎてしまい、客観性や応用力が欠け、通訳の質が不安定になることがあります。
理想的なのは、学習知(理論)を実践の場で試し、そこで得た体験知を再び理論と結びつけて深く理解するという循環です。この繰り返しが、あなたを「技術者」から「真の通訳者」へと成長させてくれます。
現場に出る前に、何ができるか?
世間知は経験からしか得られないものですが、現場に出る前に少しでもそのエッセンスを吸収する方法があります。
それは、「手話通訳のあり方」について深く学ぶことです。
先人たちが現場でどのような葛藤を抱え、どう判断してきたのか。
それを記した資料や書籍はたくさんあります。
それらを読み込み、自分ならどうするかを想像することは、擬似的な体験知となり、あなたの大きな助けになるはずです。
結びに
試験突破はゴールではなく、新しい学びの始まりです。
「学習知」という確かな武器を持ちながら、現場で揉まれて「世間知」を育んでいく。そのプロセスこそが、手話通訳という仕事の難しさであり、一番の醍醐味なのかもしれません。
まずは、気になる資料を一冊手に取るところから始めてみませんか?
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